あんじゅう

あんじゅう―三島屋変調百物語事続
三島屋変調百物語の続き。
おちかが不思議な話を聞き続けている。
一番好きな話は表題作の「暗獣」
御家人の夫婦が隠居住まいとした家には幽霊が出るとうわさされていた。
そこには黒い姿の物の怪が棲んでいた。二人はそれに「くろすけ」となまえをつけて可愛がった。「くろすけ」ってまっくろくろすけみたいで可愛い。
二人はずっと三人で過ごしていくつもりだった。
しかし、ダンダンくろすけが小さく儚くなっていく。
くろすけの正体は家の寂しさだったのだ。家に二人が来たことによって家は寂しくなくなってきた。そしてくろすけは消えていこうとしていた。
夫婦はいつまでもくろすけが存在してくれることを願って家から出て行く。
くろすけも夫婦も一緒にいたいのにいられない。なんとも悲しいけれども、ほんわかした気分に成らされる話だった。
一番怖かったのは「藪から千本」
一番怖いのは人の気持ちってことなのね。物の怪より恐ろしい。
「吼える仏」もやっぱり人は怖いって話だった。