時砂の王

時砂の王 (ハヤカワ文庫JA)

時砂の王 (ハヤカワ文庫JA)

西暦248年、卑弥呼の支配する邪馬台国。彼らの間にはいや世界中のあちこちに使令(うかいのおきて)が伝わっていた。世に災いがあること、災いがあること、人が合力してそれに当たれば必ずや退けられ、あらゆる魔を祓う、強力な助けがくると。
卑弥呼は信じていなかった。だがある日、物の怪に襲われ使いの王に助けられる。
そして使いの王の語った遙かな物語。
彼は2300年の未来において謎のETによって壊滅した未来から過去の人類に危機を伝え備えを求めるために送り込まれた人工生命体だった。
だが、過去に戻って戦いに備えさせようとしても人類は一つにまとまらない。そして敵も過去に戻って襲ってくる。
使いの王達はどんどん過去に戻る。 人類発祥の頃まで。そして、時を巡り敵と戦う。
そしてついに敵の目的を知る。
敵は数億年未来から人類によって壊滅に瀕しそれによって遅れた文明の進化1200万年分の復讐をするため、時間遡行攻撃を仕掛けてきたのだった。
生命など生存していないと思った惑星に探査基地を置きその結果の環境汚染。それによって原生細菌が滅びかける。ETはその細菌から進化したものだった。
それを知ったときのメッセンジャー達の疲労。敵の行動がまっとうなことを知りながら、人類を守るために戦うメッセンジャーたち。
邪馬台国に来た使いの王が卑弥呼との関わり合いの中少しでも休まることがあったのならうれしい。
最後に卑弥呼の努力が報われるのもうれしい。
しかし、人間の情けなさは何とも言えない。
人類の敵が来ると知ってもまとまらない人類。
こういう風になりそうで本当に情けない。