セヴンスタワー

セブンスタワー〈6〉紫の塔

セブンスタワー〈6〉紫の塔

この人の作品非常に面白い。
舞台設定がしっかりしている身体と思う。
異世界ファンタジーは舞台が命だものね。
でも,それだけではない。登場人物の存在感もまた必要だ。
そのへんもぬかりない。
ビルドゥングスロマンとしても納得出来る仕上がりになっている。
この作品の主人公タルがが住んでいる闇の国には階級制がある。タルたちは選民と呼ばれ選民の中では上に行くことも出来る。しかし,地下民と呼ばれる人たちは一生下働きをさせられる。
この世界の人々は魔法の国アイニールに行き,強力なスピリシャドウを,自分のものにすることによって,階級が上がるのである。
タルは十四才。自分のスピリシャドウを捕まえに行く時間。
しかし,父が行くえ不明になった。母は病気。ここから物語は始まる。
父に家族を頼まれたタルは強力なサンストーンを探す旅に出る。
そうして,魔法の国アイニールと,闇の国の間の戦いに巻き込まれていく。
で,そこで,氷原の民や,地下民の中の自由民たちと出会う。
タルは選民以外を最初見下している。その言動が非常にいらだたしい。しかし,自分たちだけが素晴らしく,そのほかの物は劣ると教育されていたらこうならざるを得ないのかも。このタルの最初の方の言動をいらだたしく覚えないような子どもたちがいたら,情けないものね。
氷原の民のミラも,タルと同じだ。彼女は他の民を見下しているのじゃなく,他の物は危険だから排除しなければ行けないとして,見つけたタルを殺そうとする。
この二人が成り行きで旅をすることによって,だんだん物の見方を変えていくのだ。
これがいいのだ。相手を認めると云うこと。
そして,地下民のクロウ。この子もいい。選民を憎み信用しない。で,タルと力を合わせて行動しなければ行けないときに,タルを裏切る。しかし,彼もまた覚醒していく。
それぞれの人のそれぞれの心の動きが非常にうまく現されていく。
是非若い人たちに読んでもらいたい。