わくらば日記・わくらば追慕抄

わくらば日記わくらば追慕抄
主人公和歌子の姉鈴音は榎木津みたいな能力いや彼より凄い能力だよね、場所や物からすら過去が見えるのだから。
それを知った和歌子がついちょっとした恋心を持った巡査のために其の能力を使ってもらう。
それを知ったある刑事が彼女にいろいろな事件について依頼するお話。
戦後10年くらいから始まる話なので、戦争をひきづっていたり、貧しさからの悲惨な事件があるのがなんとも悲しい。
鈴音の初恋の人が原爆症でなくなるというところも時代を感じる。
偶然仲良くなった年上の少女が赤線から逃れてきたことがわかるところはどういっていいか。
小松川事件を模した事件について犯人に対する訳の解らなさに悩む刑事に心引かれる。彼は最初はあまりイメージ良くないんだけどね。追慕抄の最後に彼の事情がわかるところがなんともいえない。
それでも、読んでるとどこかに希望を感じるのは何故なのだろう。
悲惨な話もあるのに何故かいい話なのだ。
だんだん登場人物たちが大人になっていくところもいいのかも。
これは久しぶりにどの人にもお勧めできるすばらしい話だと思う。
鈴音と同じ能力の女と鈴音の関係とか、彼女たちの父親はどうなってるのかとか謎がいっぱいあるので、まだ続きがあると思うのでまだまだ楽しみな話だ。