砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない―A Lollypop or A Bullet

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない―A Lollypop or A Bullet

何だろう。
ここにでてくる二人の子は非常に不幸。
主人公なぎさは父を亡くし,パートをする母と,引きこもりの兄の三人暮らし。
引きこもりの兄は貧しい暮らしを無視して通販で好きな物を買い,家はますます貧しくなる。中学を卒業したら自衛隊員になり家計を助けるつもりでいる。
で,自分は一番不幸だと思っている。
そこへ,海野藻屑という子が転校してくる。
偶然藻屑の体の字に気が付く。
そして藻屑が虐待されていて,足も不自由。片耳も聞こえないことを知る。
自分の不幸は平凡でありきたりの貧窮で,藻屑の不幸は非凡な不幸。
悲惨な最期。
担任教師の悲痛な叫びが痛い。
彼は彼なりに努力していたのだが。
子どもが殺されていく。
生き残った子どもだけが大人になる。
何ともいやな時代だ。
いやな話だったけれど,ぐいぐい引き込まれる。
何故だろう。
主人公が子どもなのにである。
この作者の作品ここ数冊非常に好い。
最初今一と思ったのに。
これも面白いというと語弊があるけど,悲惨な話なのに,何かいいのだわ。