月桃夜

月桃夜
第22回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作
死んでもいいと海を漂う茉莉香に、虚空を彷徨う大鷲が語りかける。熱く狂おしい兄の想いを、お前はなかったことにできるのか?かつて二百年前の奄美にも、許されぬ愛を望んだ兄妹がいた…。過酷な薩摩藩支配の奄美で、苛酷な階級社会で奴隷に生まれた少年は、やがて愛することを知り、運命に抗うことを決意する。
奴隷状態の兄が将棋指しを目指すところがいい。でも、結局兄妹で死に向かうしかないのが悲しい(/ω\)。正木は本当にサネンを思っていたのだが、フィエクサもまた妹として一緒に育ったサネンを思っていたからだ。
そして茉莉香に大鴉が語りかけたのも、茉莉香と兄の関係がサネンとフィエクサの関係にに通っていることを大鴉が悟ったからだろう。茉莉香もまた、大鴉の語るサネンとフィエクサの話から生きていこうと思う。
読後感のいい話だった。
星三つ。