小暮写真館

小暮写眞館 (書き下ろし100冊)
英一は両親と弟との4人で小暮写真館に移り住んできた。
父親の趣味で外装はほとんど変えず内装もほとんど元の写真館のまま。写真館の看板もかけたまま。
彼の元に小暮写真館で撮られたと思われる心霊写真がもちこまれた。英一はその謎を解明しようとする。その謎は友人のテンコやコゲパンらの助けで解明できる。それからいくつかの写真が持ち込まれるようになる。そしてそれを解明していくと共に恋をしたり、別離を体験したり、家のしがらみを解いていったりする。
それぞれの写真のいわれはすべて悲しい。想いが込められている。英一の家族の傷も見えてくる。絵英一にはもう一人妹がいた。しかし風邪であっけなくなくなる。親戚からの非難を浴びる母。それに関して不動産屋の従業員垣本は「子供が死ぬのはあってはならないことだから誰かに責任を押付けたくなる」という。
そして両親は親戚付合いを絶つようになる。
こういう風に病気で亡くなっても何でも、親は、兄弟は自分の責任だと思うのね。英一も自分が一言言えば助かったと思い、弟も自分の責任だと思う。弟のピカちゃんが小学生なのに悩んで夜尿症になっちゃうところはかなしい。それでも、結局は姉の死を受け入れるピカちゃん。
不動産屋の従業員垣本の自殺未遂をみた英一は彼女に引かれていく。彼女の自殺の原因は母親の責任。なんとか吹っ切れたが、母の前から完全に姿を消すため、英一からも去っていく。
登場人物たちがみないい子達って言うのがいいわ。そうじゃない子もいるんだろうけれど、でも、世の中いいこの方が多いと思うし、思いたい。
英一は失恋しちゃうけど、それでも、このお話、とても素敵。